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理事長挨拶

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 この度、今井浩三先生、平岡真寛先生、西山正彦先生の後を受け、一般社団法人日本がん治療認定医機構の第4代理事長を拝命しました。本機構は、日本医学会が2005年6月30日に公表した「がん治療専門医をめぐっての提言」(https://www.jbct.jp/about/history/)に基づき、2006年12月に日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会の3学会と、全国がん(成人病)センター協議会の3学会1協議会の連携により発足しました。「がん治療に関して認定医と専門医の2段階制とする」構想の第一段階を担う制度です。現在では、発足時の3学会1協議会に加え、がん関連学会の多くの先生方に加わっていただき運営が行われています。2008年よりがん治療認定医の認定を開始し、2010年からは歯科医師を対象としたがん治療認定医(歯科口腔外科)が加わり、合計で18,697人(2022年4月1日現在)を認定しています。

 がん治療認定医とは、「がん治療の共通基盤となる臨床腫瘍学の知識およびその実践を支える基本的技術に習熟し、医療倫理に基づいたがん治療を実践する優れた医師である」と定義されています。専門医がある一定領域の高度な知識および技能を有していることをもとに認定されるのに対して、がん治療認定医はがん領域全般にわたる幅広い基本的な知識を習得していることが求められており、専門医と認定医は明確に区別されています。日本の専門医制度の全体像がどうなるか見通せない状況のなかで、がん治療認定医の位置づけが曖昧な状況であることは否めませんが、発足時の目的であるがん治療医の横断的知識の向上については、一定の成果が上がっているものと考えます。がん治療認定医が日本の専門医制度の中でどのような役割を担うべきかについては、日本専門医機構や関係する学会と協議していく必要があります。

 従来は、1,000名を超える参加者を対象とした教育セミナーおよび認定試験を、毎年2日間の日程で行ってきました。しかし、コロナ禍の影響もあり、e-ラーニングの導入および今年度からはCBT(Computer Based Testing)への移行を行い、教育セミナー、認定試験さらには更新試験の実施方法も大きく変化しています。今後も新しいがん治療認定医を認定していくとともに、これまでにがん治療認定医を取得された医師に、日々進歩する腫瘍学の知識を効率よく更新していただくためのプラットホームを提供することが重要と考えています。

 本機構は、3学会1協議会をはじめとする多くの学会からのご協力により設立から、15年以上活動してまいりました。その間に、多くのがん治療認定医およびがん治療認定医(歯科口腔外科)を認定し社会に貢献してきましたが、今後も活動を継続するにあたり引き続き関係各位のご支援、ご協力が必要です。引き続き、皆様のご指導ご鞭撻を、よろしくお願い申し上げます。


2022年7月
一般社団法人日本がん治療認定医機構
理事長 大江裕一郎