がん治療認定医とは
「市民のみなさまへ」
わが国では、1981年以降「がん」が死因のトップとなり、毎年増え続け、2017年には死亡総数の3割近くを占めています。国民の2人に1人が「がん」に罹り、国民の3人に1人が「がん」で亡くなっているわが国において「がん」への対策は急務であり、短期間での医師の養成が必要となりました。
しかし、近年の「がん」の治療は極めて多種多様となり、また、分子生物学やゲノム医学の急速な進歩によってその情報や技術の質・量は驚くほどに高度専門化・膨大なものとなっています。
すべてを習得することは医師個人の努力の限界を超え、チームとして対応(「チーム医療」)していかなければならない時代となりました。
チーム医療には多くの医師が携わります。しかし、それぞれの専門領域(診療科)が異なるため、医師同士の連携が大変重要となります。そこで必要となるのが、エビデンス(科学的根拠)に基づいた「がん」の治療についての「各診療科共通分野の研修」です。
この研修を修了することで、「がん」の治療に従事する医師同士が、たとえ専門領域(診療科)が異なっていても、「がん」の標準治療に関する基本的で幅広い知識・技術を共有できるようになり、検査・診断・治療が円滑に行われ、携わった医師の誰もが同様に患者さんへの説明責任を果たせることになります。また、地域格差の補正や医療の均てん化にもつながります。
本機構では、日本医学会の提言に基づき、2007年に「がん」の治療水準の向上を目指し発足して以来、「がん」の治療に関する教育の機会を提供し続け、「各診療科共通分野の研修」を修了した医師を「がん治療認定医」として認定しています。これは世界で類を見ない、わが国独自の制度です。